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読本・雨月物語に触れる!三島や芥川が参考にした優美且つ幽玄なる文章!

雨月物語』は、上田秋成によって江戸時代後期に著された5巻9篇から成る読本作品で、安永五年(1776)に刊行されました。
内容は、日本・中国の古典を翻案、改作した流麗な和漢混淆文による怪異幻想短編で、その本質は人の執念、執着心から成り、運命に翻弄される人間たちの悲劇的形姿を情念豊かに美しく歌い上げる、近世日本文学の代表作ともされています。
題名の由来は、序に「雨霽月朦朧之夜。窓下編成(雨の止んだ朧月夜に窓の下で編成した)」とある他、「牡丹灯話」からの引用や謡曲「雨月」等の諸説があります。

各話の概略としては、
・白峯   :西行法師と崇徳院怨霊が王道について対話激論する話。
菊花の約 :自刃して幽霊になってまで親友との約束を守った男の話。
浅茅が宿 :京都まで出稼ぎに行った夫を幽霊になっても待ち続けた女の話。
・夢応の鯉魚:夢に鯉となって自由に泳ぎまわった芸術家肌の僧侶の話。
・仏法僧  :ある親子が高野山豊臣秀次一行の怨霊に遭遇した話。
吉備津の釜:失踪した浮気性の夫が嫉妬深い妻の霊に惨殺される話。
・蛇性の婬 :蛇の化身に魅入られた青年が、彼女と対峙するまで成長する話(関連:道成寺安珍清姫)。
・青頭巾  :稚児への愛執からカニバリズムに耽るようになった僧侶を快庵禅師が解脱に導く話。
・貧福論  :武士・岡左内の枕元に「黄金の精霊」が現れて経済原理について対話する話。
といったところ。

九篇に共通する、数多くの怪しい存在が跋扈し、時には人間を死に追いやったり、また時には議論を繰り広げたりと、それぞれが種種多様な振る舞いをする怪異談ですが、上田秋成の文章は優美且つ幽玄であると言われ、かの芥川龍之介も小説の書き出しを『雨月物語』を参考にしたと言われています。
また、三島由紀夫も戦時の戦火の魔の手が忍び寄る中、『雨月物語』が収録された秋成全集を自らの「歩右の書」として持ち歩いていたそうで、特に「白峰」と「夢応の鯉魚」がお気に入りだったそうです。
時代を超えて、多くの先人に愛された『雨月物語』には、心を捕らえて離さない何か強大な魅力があるのでしょう。
あるのです。

あらすじはウィキペディアなどでも読み取ることはできますが、一度原文なり書き下し文などでその美しい文章に触れてみてはいかがでしょうか。

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参考までに、以下に原文、書き下し文を一部抜粋します。
【参考】『雨月物語 上田秋成』原文

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