知命立命 心地よい風景

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無常観!尊厳と誇りが為せる日本的美意識!

存在するすべてのものは、絶えず移り変わっていると観察する人生観であり世界観である「無常観」。
一般に無常というと、人生の短いことを儚む虚無感にも似た感覚を思い浮かべるかもしれませんが、これは無常を感情や情緒として感受していることからきています。

これに対して「無常観」とは、
・物事が成長するプラスの面を見ることであり
・四苦八苦は人間が生きていくうえで付いてまわる必然のものであり
・生あるものは必ず死ぬという現実を受け入れた上で、
前向きに生きる姿勢、感覚を指します。

あなたは、若くありたい、死にたくないと思っているかと思います。
そう考えると、刻一刻と老化し最後に死ぬという現実と、あんた自身の思いとは大きな食い違いを起こします。
そこに”思い通りにならない苦”というものが起こる訳です。
その苦を脱却するためには、現実と思いとの間に食い違いを起こさないようにしなければなりません。
勿論現実の方は変えようがないので、どうするかといえばあなたの思いを変えて現実に合わせるしかありません。
それが、生あるものは必ず死ぬという現実を受け入れるということなのです。
この現実を受け入れれば、現実と思いが一致するので、苦というものは起こらず、心は平安となる訳です。
こうしたあなたの思いを変えてしまうために、無常観が必要になるのです。

日本人は、ブッダの説く「無常観」に大きな影響を受けてきました。
・人の命のはかなさ、世の中の頼りなさを歌った『万葉集
・「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」と無常を想う遁世生活を述べた『方丈記
・「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の言葉で始まる『平家物語
吉田兼好の随筆『徒然草
これ以外にも能、桜などの中にも無常観を表そうとしたものが多いですね。

永遠なるものを追求し、そこに美を感じ取る西洋人の姿勢に対し、日本人は移ろいゆくものに美を感じる傾向を持つ、独特の美意識を持ち続けてきました。
これらは、人や世間のはかなさ、頼りなさを情緒的、詠嘆的に表現しようとした日本的美意識としての「無常観」です。

これは、現代の私達だからこそ大切にすべき特質です。
虚無感にも似た現実からの逃避ではなく、現実をきちんと受け止める。
そうした中でも移ろいゆくものに美を感じながら前向きに生きる姿勢、感覚を表す。

日本人としての尊厳と誇りがなせるこうした特質を胸に、今年もしっかりと進んで参りましょう。

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