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【千夜一夜物語】(16) 船乗りシンドバード(シンドバッド)の物語(第290夜 – 第315夜)

前回、”詩人アブー・ヌワースの事件”からの続きです。

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豪壮な屋敷の主人シンドバッドは、同じ名前をもつ荷担ぎシンドバッドを招いて若きころの冒険を物語る。

【船乗りシンドバッドの物語の第一話 第一の航海 クジラを島と思って上陸し、海に投げ出される】

冒険にでようと思い立ったシンドバッドは、財産をまとめて船にのせて旅立った。
航海の途中、緑ゆたかな島にほかの乗客たちと降り立つが、そこは大きな鯨の背中である。
鯨は海中に沈んで乗客たちは溺れ死に、脱出した船長は船に帆をかけて行ってしまう。
ひとりだけ助かったシンドバッドは、ある島をみつけて上陸する。

島には牝馬がつながれていて、その近くに穴を掘って人が住んでいる。
聞くと、彼らはミフラジャーン王の馬番で、こうしておくと海から海馬があがってきて牝馬とつがい、良馬を得ることができるのだという。
歓待をうけたシンドバッドはミフラジャーン王に拝謁し、その冒険を語ると、王はシンドバッドを港湾隊長に任命した。

王に重用されつつも故郷への思いをつのらせていたシンドバッドだが、ある日港に入った船は、故人の財産をバクダードへ返しにいくところだという。
それはシンドバッドが乗っていた船で、財産は彼のものだった。
シンドバッドはこれを期に王にいとまを乞い、港湾隊長として築いた財産とともに、バクダードヘ持ち帰った。

【船乗りシンドバッドの物語の第二話 第二の航海 無人島で巨大なルフ鳥を見たが、この鳥を使って死の谷からダイヤを採取する】

次の航海に出たシンドバッドは、上陸した無人島に置き去りにされてしまった。
島には巨鳥ロクがいて、その足に自分自身を結びつけて脱出するが、ついた先はダイアモンド鉱石で構成された峻険な山に囲まれた谷間で、大蛇がうようよしている。
逃げ場をさがしていると生肉が落ちているのを見つけ、それは、こういう険しい場所でダイアモンドを採取するための仕掛けだった。
羊の肉を崖から落として鉱石を肉に食い込ませ、それをロクや大鷲が運び上げるのを待って奪い、肉からダイアモンドを取り出すのだ。
シンドバッドは落ちているダイアモンドをかきあつめると、肉に自分自身を縛りつけて脱出を果たした。

【船乗りシンドバッドの物語の第三話 第三の航海 小人や巨人に襲われるが、その目をつぶして逃げ出す】

次の航海では、船は「猿が島」という島に流される。
無数の小猿が船をとりかこんで打ち壊し、乗客たちは上陸を余儀なくされた。
島にはひとつだけ御殿が建っており、そこに住む大猿は、乗客のうち太っているものから順に、毎夜ひとりずつ丸焼きにして貪り食う。
乗客たちは脱出するために筏を組み、大猿が眠っているうちに目をつぶして逃げ出すが、大猿はさらに大きな牝猿を連れてきて、シンドバッドら三人のほかはすべて殺されてしまった。

筏でたどりついた島では大蛇が出て、次々と飲み込まれてしまう。
ついにひとりだけになったシンドバッドは板切れで大蛇から身を守り、通りがかった船に救助された。
その船は第二の航海のとき乗っていたもので、シンドバッドは置き去りにした財産を取り戻した。

【船乗りシンドバッドの物語の第四話 第四の航海 人食い人種につかまり妻とともに葬られたが脱出する】

次の航海では嵐にあって難破し、島に打ち上げられる。
そこは食人種の村で、打ち上げられた人々は供された食物を食ううちに知性を失い、家畜のように飼われるだけになってしまった。
ひとりだけ食物に手をつけなかったシンドバッドは脱出し、反対側の浜辺にでる。
そこはよく栄えた街であったが、人々はみな裸馬に乗っており、鞍の存在を知らないのである。
鞍を紹介したシンドバッドは、たちまち富と名声を手に入れた。

当地の王からすすめられて妻をめとったシンドバッドだが、この地には、伴侶が死んだときともに生き埋めにされるという法があった。
やがてシンドバッドの妻が病気で死ぬと、わずかな食料を持ったのみで深い井戸の中に置き去りにされてしまう。
ときおり入ってくる新たな死者の伴侶を殺して食料を奪い、露命をつないでいたが、あるとき死者を喰いにきたらしい動物の姿をみつける。
後を追って出口を見つけたシンドバッドは、死者たちが身につけていた多くの貴金属などをはがすと、海岸線を走っていた船をつかまえてバクダードへ帰った。

【船乗りシンドバッドの物語の第五話 第五の航海 海の老人という奇妙な魔物につかまる】

次の航海では、乗り合わせた商人たちがある島でロクの卵を打ち壊したがために、報復にあって船が難破した。
たどり着いた島には一人の老人がいて、肩車で川を渡してくれと頼まれる。
その通りにすると、老人は肩にしがみついたまま降りようとせず、シンドバッドの首を締めつけては、乗り物のように扱うのであった。
シンドバッドはひょうたんにぶどう酒を醸成して飲ませ、酔ったすきに振り落として老人を殺す。

海岸線に戻るとちょうど船が休息しているところで、船員から聞くところによると、老人は「海の老人」と呼ばれて恐れられているものだったという。
船に同乗したシンドバッドは、立ち寄る島々でさまざまな交易を行い、巨万の富を得てバクダードヘ戻った。

【船乗りシンドバッドの物語の第六話 第六の航海 セレンディブ島(スリランカ)での冒険その1】

第六の航海では、船が山にぶつかって難破してしまう。
山にとりすがった数人は助かり、海岸部へ上陸する。
しかし、その島は宝石や香木があふれる素晴らしい島だったが、食料がなく、人々は次々に死んで行く。
節制して食物をとったため最後のひとりとなったシンドバッドは、島にころがっている宝石などをかき集めると、筏を組んで洞窟深くに流れ込んでいる川に乗り、いちかばちかの脱出をはかる。

気がつくとセレンディブ島の住人に救助されていたシンドバッドは、島の王に拝謁して宝の一部を献上する。
王は教王アル・ラシードに対する進物と信書を持たせ、シンドバッドをバクダードに帰した。

【船乗りシンドバッドの物語の第七話 第七の最後の航海 セレンディブ島(スリランカ)での冒険その2】

もう冒険はやめようと思っていたシンドバッドだが、教王の求めで、セレンディブ島の王に対する返書と進物を送り届ける役目についた。
ぶじに勤めを終えたが、帰り道でまたも災禍にあい、海の怪物に船をまるごと飲み込まれてしまう。
例によってひとりだけ逃げのびてある島につくと、落ちていた白檀をつかって筏を組み、川を下りだす。
川下は断崖になっていたが、親切な老人に助けられ、筏の材料にしていた白檀を市場で高値で売り抜けた。
さらに老人は、自分のむすめと一緒になって財産をうけ継いでくれと申し出、シンドバッドはそれを受けて婿となる。
やがて老人が死ぬと、莫大な財産が彼と妻のものになった。

しかしこの島の男たちには不思議なことがあり、毎年春になると翼が生えて飛び立ち、町には女子供しか残らなくなるのだ。
シンドバッドは頼み込んでひとりの男の胴にぶらさがり天の高みにのぼるが、思わずアッラーへの賞賛の言葉を口にすると、男は急降下してシンドバッドを急峻な山の頂上に置き去りにする。
するとふたりの美しい子供があらわれ、シンドバッドに金の杖を渡してひとつの方向を指し示した。
指示された方に行ってみると、シンドバッドを連れてきた男が、頭まで大蛇に飲み込まれているところである。
シンドバッドは金の杖をつかって男を助け、神の名を口にしないことを誓って町まで送り届けてもらった。

妻によれば、男たちは悪魔の兄弟であり、ここは不信の町である。
シンドバッドは妻とともにバクダードへ帰り、これですべての冒険は終わった。
最初の冒険から二十七年めのことであった。

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次回は、美しきズームルッドと「栄光」の息子アリシャールとの物語です。

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